「雑誌が好き」という人は多い。
裏をかえせば「新書や単行本は読まない」ということでもあり、書籍業界的な立場からは困った現象ではあるのだろう。
雑誌の難点は、読み終わったあとにある。
ずっと残しておく人はたぶん少数派でしょう。読み捨ててしまうのが雑誌の基本スタイルだとうは思うけど、しばらく時間がたったあとに記憶を頼りに「あの雑誌のあの記事をもう一度読みたい」となることがしばしばあると捨て時が難しくなる。かといって切り抜いてスクラップブックに、なんて作業は絶対に続きはしない。
ありそうでなかったクロスメディア的サービスが日本でも本格的に始まるそうだ。
紙の雑誌を表紙から裏表紙まで、中身の広告ページも含めた全ページをデジタル化して、画面で閲覧する専用ツールをリリースするのは雑誌専門のオンライン書店「Fujisan.co.jp」。
このサイトはAmazonに似ていることでも有名。
現段階では、デジタル化技術のライセンス提供を米Zinio社と結んだというニュースだけが先行している。
ページめくり機能、ブックマーク機能、コピー防止機能などが特徴で、「Fujisan Reader」という名前が専用リーダーにはついている。
雑誌と画面のインターフェースの違いを解決するために専用のリーダーが必要というのは理解できる。
できればその専用リーダーのAPIをオープンソースにするなり、せめてASPにするとかしてフラットにしてほしい。きちんと権利と課金さえ担保できれば(そこがいちばん難しいけど)、あとは雑誌コンテンツの過去の資産も含めてどう再利用、再構築していくかは、いくらでも考えられるはず。
一方で、コンテンツ自体は版元である出版社、そしてさらに広告主や執筆者、カメラマンなどの著作物で成り立っているのだけに、出版社との交渉がスムーズにいくことを願いたい。