Web2.0が殺すもの
宮脇 睦さんはWeb上でいくつかのコラムを連載されていて、これがとてもおもしろい。
調べてみたら書籍もいくつか著しておられるので選んだのがこれ。
2006年10月初版ですから鮮度的なタイミングは逸してしまいました。
- 作者: 宮脇 睦
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2006/09
- メディア: 単行本
洋泉社のペーパーバックから出ているのが、ちょっと珍しいです。そして内容も少し変わっています。
良い意味でも悪い意味でも変わっています。
きっとこの本の想定読者はWeb業界の人でしょう。それは間違いないと思います。
Web界の空気や価値観に浸かりきっている一部の人に対して嫌悪感を抱いている人が存在するのは確かでしょうし、それを揶揄する発言は以前から存在していました。それを上手にまとめた本です。ブログ的な軽い文体で、さらっと読めます。
「集合知」礼賛的な考えに毒されて何かを勘違いしてる人は昔は確かに自分の周りにも見かけましたが、いまはもう絶滅してしまったはずです。
そんなWeb界の内側にいる人々とそれ以外の人々の間にある温度差や違和感を、全編にわたって具体的な事例を交えながら論じていて、そこはとても共感できます。「もっと早く読んでいたら…」と悔やまれます。
それにしても宮脇さんはよっぽど梅田望夫さんがお嫌いなのですね。梅田さんに対するクリティカルな言い回しがそこここに登場します。「ウェブ進化論」を読んだ人なら2倍楽しめるでしょう。最終章で次に来る「Web3.0」を見据えた方向性を示しています。この部分、もっとページを割いて欲しいところです。
一方で書籍のタイトルと装丁に大きな問題がある気がしてなりません。
刺激的なタイトルは内容を端的に表しているとはいえ、どう考えても上手なタイトルとは思えません。B級的な何かを狙っているのでしょうか。表紙のデザインに至っては全く意味不明です。