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2007年09月20日

小説 上杉鷹山を読んだ。

実は小説といえば読むのは翻訳モノが専門です。だけど以前から鷹山(YOZAN)の名前だけは知っていたので気まぐれで読んでみました。
本書は、歴史小説というよりリーダシップ論や経営論で有名です。

全一冊 小説 上杉鷹山 (集英社文庫)

全一冊 小説 上杉鷹山 (集英社文庫)

  • 作者: 童門 冬二
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1996/12
  • メディア: 文庫

「ウエスギ・ヨーザンは、私の最も尊敬する日本人です」と語ったのは故ケネディ大統領やクリントン大統領だそうで、むしろ日本よりも国外で有名な日本人かもしれません。

「どんな絶望的状況にあっても複眼の思考方法を持ち、歴史の流れをよく見つめるならば、閉塞状況の中でも、その壁を突破する道はある。」と彼は説きます。
人や組織は何か難問にぶつかると改革論や精神論を持ち出し、その反面いざ意見を求めると今度は皆がそれぞれ自分のかかわる分野については注文やできない理由をつけて改革の対象から外そうとするもの。いわゆる総論賛成、各論反対というやつですが、これにどう治憲(のちの鷹山)が取り組んでいったかがテンポよく描かれます。この難問を解決していくための施策をどのように実行していったか、その順番が大切なのです。

何かを変えるとき、特に人の気持ちを変えるには、手順とある程度の時間が必要なのだということ。

ただ一方で、頻繁に筆者自身が主語としか思えないような、急に現代に戻った書き方で企業社会に例えてみたり、本文の流れを無視した脚注とも思えるコメントがあったりするのはちょっと興ざめ。しかし見方を変えれば、表現や形容詞の使い方が現代風な本書は、自分のような歴史小説初心者にとっては読みやすい良書でした。

2007年09月03日

佐々木 俊尚著「フラット革命」を読んで。

フラット革命
  • 作者: 佐々木 俊尚
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/08/07
  • メディア: 単行本

ノンフィクション小説のような文体で、一気に読みました。おもしろかった。
インターネット側とリアル社会との対比を様々に紹介しているが、なぜだかどうしても筆者がインターネット側に立ってその場所から弁証法を使ってネット民主主義を正当化しようとしているようにしか受け取れない場面が多々あります。つまり筆者の視点がそもそもフラットでないと感じてしまう読者が多いのではなかと心配してしまうのです。

そもそもこの本の書き方自体が、時系列や引用、そしてソースを意識的に大量に提示することで持説を展開していくという手法をとっていて、それはブログやトラックバックをたどっていくことで一つのストーリーが形成されてくるネットコミュニティの文脈理解によく似た手法になっています。これもたぶん筆者は意識してのことでしょうが、文体に違和感を覚えて読了せずに本を閉じてしまう人がいるとすれば筆者の提示した問いかけに自問することもないわけで、それはあまりにももったいない。

この本が上稿されたの2007年5月上旬。構想から2年以上かかったとのことです。書籍というフォーマットは出版された時点で当然陳腐化されてしまうものだけに、この「著書」がモニタ上でリアルタイムに読むことができたなら、もっとおもしろかったのに、という感想は筆者にとても失礼かもしれません。

昔、河上イチローの著書を読んだことがあったのを思い出しましたが、あんなことになっていたとはこの本を読むまで知りませんでしたし、日コン連のエピソードなどもう忘れかけていた話題もあって、あのときと今の自分と、インターネット関連の仕事をしていながらもう忘れかけていた「ちょっと昔のこと」を振り返って自分とネットとの距離感がいつのまにか変化してきている事実に気がついて、いろいろ考えが彷徨ってしまいます。。

2007年06月21日

Gerhard Richter「Atlas」

今日買った本:Gerhard Richter「Atlas」
ゲルハルト・リヒターさんは、後ろを向いた写真しか知らないけど、この写真集はちょっとすごい。写真だけじゃなく、スケッチやフォトコラージュなど、掲載点数も相当なもの。
気になる写真に限って表示面積が少ない。たぶんインパクトの強いもの小さく載せることでバランスをとっているのだろう。

写真自体はスナップ的な構図で、偶然撮影したものがほとんどなのだろう。しかし、これだけの物量で意図的に並べていくと、なるほどAtlas = 世界地図という壮大さが感じられて面白い。たくさんのスナップ写真を撮りためたとしても、こんなものはつくれそうにない。

Gerhard Richter: Atlas

  • 作者: Gerhard Richter
  • 出版社/メーカー: Walther Konig, Cologne
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: ハードカバー

写真の上から油絵の具をのせていったフォトペインティングの写真集もたしか出ていたはず。そっちもみてみたい。

2007年06月07日

Founders at Work

  • 作者: Jessica Livingston
  • 出版社/メーカー: Apress
  • 発売日: 2007/01/22
  • メディア: ハードカバー

PayPalやFlickr、del.icio.usの創業者やGmailの開発者などインターネット関連企業のスタートアップステージ段階時にキーマンへのエピソードをまとめたインタビュー中心の本。
どうやら和訳本が出るらしいということに今になって気づいた。私のように英語の空気感やニュアンスまでわかる自信が無い人は、翻訳本を待ちましょう。

2007年06月05日

虹を作る本。

この本をめくると手の中で魔法がおこります。
いつでも、どこでも小さな虹をつくることができる本。

Rainboubook-1

RAINBOW IN YOUR HAND」川村真司/著
黒い服を着ていないと見えないのかも。

2007年05月22日

装丁家の鈴木成一氏

NHK「プロフェッショナルの流儀」

今夜は個人的にも仕事ぶりやインタビューなど考え方がわかる物ならなんでも全部知りたい装丁家の鈴木成一氏。
昔「情熱大陸」にも出演されていたっけ。
忘れないうちに、番組を見ながらとったメモを記しておく。

  • 本の装丁という仕事は、「削っていく、彫刻していく」イメージ。
  • 編集者曰く「鈴木さんは初めて会ったとき、自分と目を合わせてくれなかった。そういうひとはきっとデザインもすごい人だろう」と思った。
  • 自分はいつもで替えができる存在。
  • 自分の仕事に対して、これが正解だと思わないとやってられないし続かない。相手を説得できない。
  • 考えがまとまらない時は、あえてほかの仕事をしながら、ときどき「無意識で見る」。無意識なときに見えてくるもの、違和感に気づく。
  • 鈴木成一氏のマックはいまでもOS 9だ。
  • プロフェッショナルとは「次の仕事が来ること」。頼まれるから、やる。

2007年04月25日

スタイルシート・デザイン続編求む。

マニュアル系の仕事の本を買うのは久しぶり。土曜日に届いて一気に読んでしまった。
これは読み物として構成されているCSSテクニカル本です。

スタイルシート・デザイン XHTML + CSSで実践するWeb標準デザイン講座

スタイルシート・デザイン XHTML + CSSで実践するWeb標準デザイン講座

  • 作者: 矢野 りん, 益子 貴寛, こもり まさあき
  • 出版社/メーカー: MdN
  • 発売日: 2007/02/10
  • メディア: 大型本

構造化計画の段階では消去的に<p>タグを使うことを推奨しつつ、indexページと中ページでの<p>エレメントの積極的な使いわけの実例が参考になる。
具体的にはindexページで<h1>を与えたサイトIDに対して、中ページでは同じサイトIDを<p>に格下げ。そのかわり中ページのカテゴリ名を大見出し<h1>でマークアップするというもの。
サイト全体で「要素の重み付けを考える」ことの意味がよく分かった。なるほど。

ページ構成も理解しやすい配慮がいっぱいあるし、全文掲載さているソースとサンプル画面を見比べながら読むと、文中ではコメントしていないヒントも数多く見つかる。例題デザインの表面的な見た目の巧拙に惑わされてはいけない。そしてなにより本文が読みやすい。

height: auto; の指定は、もうちょっと説明や具体例を提示してもらいたいところ。

面白くてすぐに読み終わってしまったので、ぜひとも続編が読みたいぞ。

2007年04月18日

商品をキャンセルしますか?

Amazonの注文内容の確認ページでは最近ずっとこんな表示がで出たままです。

重要なお知らせ あなたのご注文に遅れが発生していることをお知らせします。ご迷惑をおかけして、申し訳ありません。

要はメーカーか取次店からの入荷が来ない、ということですからしかたがありません。今年の2月1日に注文した物が、度重なる発送延期でついに発送までに半年かかることになりそうです。
急いでいるワケじゃないので、まあそれは別にかまわないのですけど、同時に注文したのが雑誌なんですよ。
2/1時点での雑誌ですからバックナンバーどころの騒ぎじゃないです。届いてもいまさら感たっぷりです。
かといってキャンセルすると送料がかかっちゃうし、どうしようかなと。

Ama Delay2

もうこうなっちゃうと、果たして本当にとどくのか!?。と、そっちの方が楽しみになってきた。
注文した商品はUSB接続タイプのSDカードリーダー。
当然商品ページではとっくに在庫切れ表示。じつはもう無いんじゃないの? 発送延期を重ねているけど、入手は正直もうムリで、客の方でキャンセルしてくれるのをただひたすら祈るように待っているのではないですか?Amazonさん?

Ama Can

いいえ、キャンセルはしません。ぜひ探し出して送ってくださいw。

そしてさらに楽しみなのが、同時注文した雑誌ははたしてキープされているのか? ということ。
版元のバックナンバー在庫を調べたら「在庫なし」でした。
市川にある倉庫では同時注文した商品は別に残してあるんですかね。遅発送が出るとキープ在庫の山になりそうですね。それがキャンセルされたりしたら不良在庫になってしまいます。心配です。

それが心配だからキャンセルはしませんよ。ゆっくり届けてください。

2007年02月27日

サム・フランシスのオブジェクト

疲れている時や体調の優れないときに「サム・フランシス」の絵はよく効く。
彼は抽象系の米国の画家。日本人の奥さんがいたほどの日本通だけあって、日本のルーツ的な何かを感じるからだろうか。

サム・フランシス
  • 作者: サム・フランシス
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1994/01
  • メディア: 大型本

昔の出光のリーフレットか何かに印刷された作品しかもってないけど、大きいパネルで見てみたい。

ぱらぱらとサム・フランシスをみていたら、FlashのActionScriptで動かしているアートワークに見えてきた。抽象的なカタチがBitmapフィルタをかけたオブジェクトに見えてきてしかたない…。

やっぱりちょっと疲れているのかも。

2007年02月14日

Garry Winogrand

この写真集は数年前に古本屋(BOOKOFFとかじゃない古い日本橋の古本屋)で見つけたもの。表紙や小口に傷みがあって、確か数千円で買えたと思う。
Garry Winogrand(ゲイリー・ウィノグランド)の写真集。

The Man in the Crowd: The Uneasy Streets of Garry Winogrand
  • 作者: Garry Winogrand, Ben Lifson, Jeffrey Fraenkel, Frish Brandt
  • 出版社/メーカー: Fraenkel Gallery
  • 発売日: 1999/02
  • メディア: ハードカバー

1960年代、米国で激変の時代にいわゆるストリートフォトグラファーとして活躍した写真家。「LIFE」などにも写真を提供したことがあるけど、亡くなったあとに残された未発表写真の方が後年ではむしろ有名かもしれません。

スナップ的な撮り方をしているにも関わらず、広告写真としても通用しそうな、計算や演出をして撮ったんじゃないかと思わせるような人物の表情や仕草が引きつけられる。

この時代のアメリカの写真はカラープリントが多いけど、モノクロプリントというのがいい。ニューヨークの街撮り写真の原点ともいえる写真集として貴重な一冊だ。

こっち↓もわりと有名。
彼が使ったカメラはもちろんライカ。

Arrivals & Departures: The Airport Pictures of Garry Winogrand

  • 作者: Garry Winogrand, Alex Harris, Lee Friedlander
  • 出版社/メーカー: Distributed Art Pub Inc (Dap)
  • 発売日: 2004/04/30
  • メディア: ハードカバー